2020年 6月 の投稿一覧

レチフ・ブラトンヌ覚書①(執筆者:久納美輝)

僕のレチフ研究は、「ユリイカ2008年2月号 特集=中島らも バッド・チューニングの作家 」を読んだことから始まる。高校時代に愛読していた中島らもの特集だからなんとなくアマゾンで購入したのだが、「砂漠のスカラベ 中島らもの小説世界」と題された鈴木創士と丹生谷貴志との対談の以下の鈴木の発言が目に入った。

彼はシラフでいられないからずっと酩酊状態のなかにいながらも、自分の周りを観察しているようなところがあって、「観察する梟」(レチフ・ド・ラ・ブルトンヌ)みたいな感じもあった。僕はそういうらも君も好きだった。彼は面白がって冷静にサドも読んでたけど、むしろサド的じゃなくて、レチフ的だった。彼はほんとうは冷徹に観察する人なのかも知れないね。眼鏡をかけた、観察するミミズク!

観察するミミズクだって?その言葉の響きに惹かれて、僕はレチフを読んでみることにした。読んだのは『パリの夜』。まさに観察する梟が革命下にあるパリの夜をさまよい歩くというものだった。