晩から晩まで打ちに打たれてたん/たか/たんをあおれば響きを対子(トイツ)とおもふ
ハコテンに泣きぬれし夜に爪ながきわが身十指の点棒を研ぐ
捨て牌を悩めるうちに夏の過ぎ木枯らしの吹くひとりのオーラス
切つ先のまるきナイフで縊りたる鶏はしずかにチーと啼くなり
昨夜(きそ)までの四半世紀をまつさらに変へむと白(ハク)の牌ばかり待つ
一、五、十、百のじやらじやらなる財布 煙草を買ひて国士をツモる
ハイウェイに右手を出して掴み取る東風にある自風の東(トン)を
読み終へし本を閉づればその風に捲られて飛ぶ公園の鳩
烈日の晩夏を歩く背は暑くすれちがふ風に腕(かいな)は涼し
名鉄岐阜行きの急行を待つてゐた
カーブからスカーレットが弧を描き少し遅れて風吹き荒ぶ
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