短歌10首 東風(執筆者:久納美輝)

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晩から晩まで打ちに打たれてたん/たか/たんをあおれば響きを対子(トイツ)とおもふ

ハコテンに泣きぬれし夜に爪ながきわが身十指の点棒を研ぐ

捨て牌を悩めるうちに夏の過ぎ木枯らしの吹くひとりのオーラス

切つ先のまるきナイフで縊りたる鶏はしずかにチーと啼くなり

昨夜(きそ)までの四半世紀をまつさらに変へむと白(ハク)の牌ばかり待つ

一、五、十、百のじやらじやらなる財布 煙草を買ひて国士をツモる

ハイウェイに右手を出して掴み取る東風にある自風の東(トン)を

読み終へし本を閉づればその風に捲られて飛ぶ公園の鳩

烈日の晩夏を歩く背は暑くすれちがふ風に腕(かいな)は涼し

 名鉄岐阜行きの急行を待つてゐた
カーブからスカーレットが弧を描き少し遅れて風吹き荒ぶ

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