短歌10首 蟹のごとくに(執筆者:久納美輝)

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テーブルと介護ベッドの狭き間をいちはやく過ぐ蟹のごとくに

絶え間なく水は流れて祖母の手に拭はぬ疫病の神あまたをり

ふとももとふとももの間の嵌張の灰皿にカンと雨だれが落つ

居間の祖母を離るやうに母は子供部屋、祖父は二階に子は外にゆく

左から右に流るる風を見る闇夜の屋根に雲隠るまで

曇天の夜空に光るほの明き星にあなたの頬おもひ出す

街頭の明かりに読まば文庫本ひかりを映し羽虫らが群る

天井の木目を祖母はじつと見る群青の空をゆかしむやうに

くさむらに身を横たへて口に入る索子を噛まば甘みを感ず

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