日本財政は黒字!?:国家の錬金術(執筆者:加藤孝男)

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コロナ禍のなかで、オリンピックを無観客で開催するとなると、日本はますます借金を抱えて、苦しくなるのではないかと心配している人が多い。そのような中で日本の財政についてホントウのことを話している人がいる。

例の「さざ波」発言で内閣官房参与を下りた高橋洋一氏である。

この人は、なんでもあけすけに言う。だからあのような舌禍を招いたのであるが、この人のしゃべりが、ますます止まらない。

現在、YouTube に「高橋洋一チャンネル」というのを設けているので、誰でもこの人の考え方に触れることができる。

書いたものなどを読んでも、この人はなかなかの才人である。あの竹中平蔵をして天才と言わしめた人物である。もちろん、小泉構造改革の折に、竹中氏の下で財務官僚として手腕を発揮したのが、高橋氏である。だから互いによく術中を心得ているようだ。

高橋氏の言うことを信じると、1000兆という借金が、現在の日本にあるけれど、それは資産と借金との均衡の片方を隠しているのだという。むろん、財務省が隠しているのは、資産の方である。(報道では、国の借金は、2020年12月末時点で1212兆4680億円)

かつて財務省でバランスシート(貸借対照表)を作ったのが、自分(高橋氏)だといい、その人が財政赤字1000兆円のカラクリを語っているのである。

日本の借金の500兆は、日本銀行が肩代わりしている。すなわち、日本銀行は政府の子会社であり、お札を刷ることで、金の小槌のようにお金が生み出される。だから、家計の借金などとは違い、いくらでもお金を生み出すことができる。

これは、MMC(現代貨幣理論)としても知られている。デフレの状況下で、政府は、公共事業をしたり、国債を発行したりして、経済を回していく。これを日銀がお札を刷ることで下支えしている。もちろん、これは無限にというわけではなく、条件があり、ある程度の先進国で、インフレにならない範囲でということである。政府の発行した国債(借金)を、日銀に回すことで、錬金術が行われていく。

それから、1000兆円のうちの、あとの500兆は、国家が保有している600兆の資産で運用できるという。これが噂にいう埋蔵金であろうか。政府はこれを財務省と結託し、資産として発表していないというから、たいしたものである。

こうしたことによって、高橋氏曰く、トントンか、少し黒字になるという。こうしたことは、実際に国家の財務を数量的に計算した人でなければ分からない。財務省時代にそれを任された人が言うのであるから信憑性が高い。むろん、それから歳月が経っているが、財政の仕組みそのものは変わっていない。

このいい方に従えば、日本の財政は健全で、ましてやツケを子孫に回すなどといったことはない。もし仮に、政府が国債としてそれを持ち続けても、数十年すれば、物価の変動によって、貨幣価値は下がり、そのうちに消失する。 

こうしたことは、財務省としては不都合な事実であり、やはり借金1000兆円以上というところを強調しておかなければ、税金をとる口実にはならない。

もっと首をかしげたくなるのは、こうした財務省の発表をマスコミは鵜呑みをして発表していることだ。高橋氏によれば、財務担当の記者は、若手が多く、わけも分からず発表しているという。かくして、日本の借金が1000兆以上あるということを、国民は信じている。

マスコミも、この部分を追求しようなどという気概のある人などもおらず、一部の財務官僚以外は知り得ないということになる。極めて特殊で、専門的な部分なのである。でも、さすがに一部の政治家は、この部分を分かっているであろう。

高橋氏が「さざ波」発言で、官房参与を失脚したことで、高笑いしているのは、官僚たちということになる。

財務全般を明らかにしようとすると、当然国の管轄する組織を明らかにせねばならず、官僚の天下り先がすべてばれてしまう。だから国家の財政などは、きつく封印してしまってある。マスコミはマスコミで、財務省とのもたれ合いのなかで、言われるままに情報を国民にたれ流しているということになる。じつにめでたい。

気骨のある野党やマスコミがこの際、会計士などを使って、本当のことを確かめて欲しいものである。

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