チコちゃんを叱る(執筆者:加藤孝男)

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「チコちゃんに叱られる」という番組が話題となっている。着ぐるみをかぶった5歳の女の子という設定のチコちゃんが、番組出演者に問題を投げかけ、答えられないと、「ぼーっと生きてんじゃねーよ」と叱る、そんな番組である。

今日放送の回は、ひな祭りが近いということで、ひな祭りに唄われる「うれしいひなまつり」という歌を取り上げていた。このサトウハチロー作詞の歌の2番に「おだいりさまとおひなさま ふたりならんですましがお」というフレーズがある。このお内裏様とおひな様というのは誰のことかと言う問題を、チコちゃんが出題した。これに対して出演者のカトパン(加藤綾子)がお内裏様は、最上段の男の雛で、おひな様がその隣の女雛であると答えたのであった。

チコちゃんは、待ってましたとばかりに、「ぼーっと生きてんじゃねーよ」と叱ったのであった。チコちゃんが、叱った根拠について、大妻女子大学の先生が解説をしていた。

その先生がいうには、お内裏様というのは、内裏に住んでいる人々をさすため、上段の二人がそうだという。おひな様は、お内裏様も含めて、全ての雛人形をいうのだと解説したのであった。もちろんそれは正しいことであろう。しかし。それは詩(詞)の読み取りを間違っている。

この詩の中では「ふたりならんですましがお」という文句があり、二人並んでという以上は、カトパンが答え、多くの国民がそう信じてきた、最上段の男雛がお内裏様で、おひな様は隣の女雛である。

以上のような誤読は、詩の読み取りにおいて、しばしば起こるパターンである。なぜかというと、詩(詞)というものは、そのなかで全てが完結しているからである。

例えば演劇で言えば、演劇の中ですべての世界が完結しているように、それはフィクションの世界であるからである。チコちゃんをみて、あれは着ぐるみで、大人がしゃべっているのですよ、などといってもしらけてしまう。

詩においても、前後関係で意味を読み取らねばならない。「ふたりならんですましがお」とある以上は、並んでいる二人をさしているのである。番組ではわざわざサトウハチロウ記念館にまで行って、そのご子息に話を伺ったようだが、もちろん、作者本人は、この詩を十分ではないと思っていたであろう。

結論をいうのであれば、「うれしいひなまつり」は、これまでの常識的な解釈で、十分正しかったのである。やはりチコちゃんは5歳の女の子だなー。

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